YAMA SWAMPMAN

山にハマって抜け出せない、山沼の住人。神奈川発|山歩きの記録。低山からいつかアルプスのテント泊へ。FUJIFILM X-E5で景色を一枚。

【富士箱根トレイル】一日で散る花を見に。明神峠から駿河小山へ

初夏のこの時期だけ、しかも咲いたその日に散ってしまう花があるらしい。おまけに、撮った写真の色を見れば「咲いてから何時間くらい経った姿か」がなんとなく分かってしまうという、なんともドラマチックな花。サンショウバラ、というそうです。……そんな話を知ってしまったら、もう行くしかないですよね。

というわけで2026年5月末、富士箱根トレイルの一区間——明神峠から不老山を越えて駿河小山駅まで——を歩いてきました。富士箱根トレイルは、富士山の須走口五合目から西丹沢を経て金時山まで続く全長約43kmの道。今回はそのうちの一部を、点から点へ歩く縦走です。

コースとアクセス

明神峠 →(明神山・湯船山・白クラノ頭)→ サンショウバラの丘・不老山 → 駿河小山駅

  • コースタイム(実績):約3時間50分
  • 歩行距離・標高差:約14.6km・登り614m/下り1252m
  • アクセス(行き):JR御殿場線「駿河小山駅」から明神峠行きのバス
  • アクセス(帰り):そのまま駿河小山駅へ下山

参考:このルートは距離14km前後、登り約600m・下り約1,250mと、とにかく下りが長いのが特徴のアンバランスコース。明神峠行きのバスは季節・期間限定の運行で、行楽期は満席になることも。運行日や予約の要否は事前に確認を。

道中レポ(と、正直なところ)

明神峠は出発点からそこそこ標高が高くて、「これは楽できるのでは」と一瞬思いました。が、甘くなかった。

歩き出すと、ブナ林の気持ちいい道。背後には富士山、左手には道志や西丹沢の山並み。よく整備されていて歩きやすく、トレランの人が多いのも納得です。正直に言うと、展望が開ける場所は区間によって限られていて、淡々とした森歩きが続くところもある。でも、その単調さも込みで「長い道の一部を歩いている」感じが、僕はけっこう好きでした。

そして、お目当ての——

会えた、サンショウバラ

会えました。淡いピンクの、透き通るような花。山の中でふっと現れると、思わず足が止まります。

で、あとで調べてみてちょっと驚いたんですが——この花、ほぼ富士箱根のあたりにしか自生しない日本固有種なんだそうです。山中湖村の「村の花」で、箱根町の「町の花」。つまり僕はこの日、世界でもこの辺りでしか見られない花の中を歩いていたことになる。そのへんの道端で見かける野草とは、「ここでしか見られない」の密度がまるで違いました。

しかも一日花。咲いたその日か翌日には散ってしまう。おまけに、蕾のうちは紅く、咲きはじめは濃いピンク、時間が経つと白っぽくなっていくらしい。ということは、写真に写った色で「その花が今日のどのへんの時間の姿か」が、なんとなく分かるわけです。なんだか健気で、ますます好きになりました。一年のこの時期、しかも一日だけの花に、ちゃんとタイミングを合わせて会えた。それだけで、来た甲斐がありました。

(ついでに言うと、サンショウバラは日陰に弱くて、森が深くなると枯れてしまうので、明るい火山の斜面みたいな場所にしか残れず富士箱根に生き延びた、なんて説もあるとか。今日ずっと下ってきたこの斜面が、この花の“住所”なのか……と思ったら、急に景色が愛おしくなりました。こういうことを延々調べてる時点で、花の沼にも片足を突っ込んでいる気がします。)

カメラのこと(X-E5)

この日のレンズは、標準ズームの XF16-55mm F2.8 R LM WR II 一本。広い稜線から足元のサンショウバラまで、レンズ交換なしで画角を変えて撮れるのが快適でした。
重さと引き換えの便利さについては、こちらの記事にまとめました👇

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写真のほうはというと、サンショウバラのこの淡いピンク、実は撮るのが地味に難しい。スマホでもデジタルでも色が妙に転びやすくて、記憶のあの透明感からどんどん遠ざかってしまう。だからこそ、撮って出しで色を決められるX-E5が、今日はうれしかった。淡いピンクを誇張せず、すっきりした青空と一緒に残したかったので、今回はPROVIAで撮影。デジタル特有のギラギラしたピンクにならず、目で見たままの儚いピンクがそのまま残って、大満足でした。

一日で散る花だからか、「あとでRAWで直す」より「その場で色を決めて残す」ほうが、なんだか合っている気がしたんです。
なぜ登山にX-E5を選んだのかはこちら👇

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下山、そして駿河小山駅へ

不老山から駿河小山駅までは、とにかく長い下り。最後には激下りが待っています。ちなみにこの区間は「ヒルが出る」という事前情報があって身構えていましたが、この日は晴れていてまったく遭遇せず!

下山すると富士山がどーんと見え、富士山に見守られていたような一日でした。(撮るの忘れた・・・)

装備メモ

累積標高のデータを見て「ほぼ下りで楽勝!」とタカをくくっていた、出発前の自分を殴りたい。後半の激下り階段で、見事に膝が笑い始めました。下り坂こそ、ストックを少し長めにして、一歩ずつクッションを効かせる丁寧な歩き方が大事ですね(案の定、翌日は前ももが軽く筋肉痛)。あと、花を撮るなら、足元の小さな被写体に寄れる準備があると、なお楽しいです。

まとめ:初夏だけの、花と富士の縦走

  • 難易度:★☆☆☆☆(危険箇所は少ないが、下りが長く距離もそれなり)
  • 所要時間:標準は約6時間/私は3:50(頑張った!)
  • ベストシーズン:サンショウバラ狙いなら5月下旬〜6月上旬が目安(一日花なので、開花情報を見てから行くのがおすすめ)
  • こんな人に:季節限定の花に会いたい人/富士山の眺めが好きな人/点から点へ歩く縦走をしてみたい人

おわりに:気づいてしまった、ひとつの円

この富士箱根トレイル、終点は金時山。そう、僕が山に戻ってきた「再開の一座」です。一日で散る花を追いかけて歩いた道の先に、自分の原点があった。知らないうちに、最初からこの長い道の上にいたのかもしれません。

……こういうことを考え始めると、もう抜けられない。やっぱり、沼です。