YAMA SWAMPMAN

山にハマって抜け出せない、山沼の住人。神奈川発|山歩きの記録。低山からいつかアルプスのテント泊へ。FUJIFILM X-E5で景色を一枚。

【レビュー】XF16-55mm F2.8 R LM WR II を登山に。「軽さは正義」と書いた僕の矛盾

前にX-E5の記事で、僕はこう書きました。「登山では100gでも正義。重い機材は、結局持って行かなくなる」と。 ……その僕が、標準ズームのXF16-55mm F2.8 R LM WR IIを買い、しかもそれを担いで山に登りました。完全な前言撤回です。今日は、その矛盾の言い訳——もとい、登山で使ってみた正直なレビューを書きます。

どんなレンズなのか

ざっくり言うと、富士のF2.8通しの標準ズーム(いわゆる大三元の標準)。35mm換算で24〜84mm相当、広角から中望遠までこれ一本でカバーできます。

注目はⅡ世代になって大幅に軽くなったこと。旧型が655gだったのに対し、新型は約410g(およそ37%減)。長さも95mmに縮みました。写りは単焦点に迫ると評判で、F2.8通しのボケも気持ちいい。アパーチャーリング(絞り環)付きで操作も富士らしい。

ただし正直に言うべき点が2つ。手ブレ補正(OIS)は載っていません。そしてそれなりに高いレンズです。

実は、最後まで3本で迷った

正直なところをお話しすると、このレンズに即決したわけじゃありません。最後まで、標準ズーム3本で延々と悩みました。

レンズ 重さ 開放F値 防塵防滴 絞り環 ざっくり
XF16-50mm F2.8-4.8 R LM WR 240g F2.8〜4.8(可変) あり(本格WR) あり 最軽量・内ズーム
シグマ 18-50mm F2.8 DC DN 285g F2.8通し マウント部のみ なし 最安・明るい
XF16-55mm F2.8 R LM WR II 410g F2.8通し あり(本格WR) あり 写り最強・最重・最高価

登山という特殊な環境では、この3本、けっこう綺麗にキャラクターが分かれています。

  • とにかく軽く、天気も気にしたい人 → XF16-50mm 240g+本格WR、しかもズームしても伸びない内ズーム。純粋に“登山の道具”として一番合理的で、本来「軽さは正義」を掲げる僕には、これがど真ん中の正解のはずでした。唯一の弱点は、望遠側でF4.8まで暗くなる可変絞り。
  • 予算重視で、明るさ(通しF2.8)も欲しい人 → シグマ18-50mm 最安で通しF2.8、しかもめちゃくちゃ寄れるので、足元の高山植物のアップにも強い。ただし防塵防滴はマウント部だけで山の雨には少し心もとなく、富士機の楽しみである「絞り環」もない——というサードパーティらしい割り切りがあります。
  • 写りと明るさに妥協したくない人 → XF16-55mm II 通しF2.8+本格WR+絞り環+写り最強の、全部入り。代償は、いちばん重くて(410g)、いちばん高いこと(ほかのレンズが約7万円~10万円前後と比べて、このレンズはなんと約18万~22万円)。しかも、発売以来、入手しずらい!

で、結局どうしたか。軽さを散々語っておきながら、僕はいちばん重い410gの16-55を選びました。「通しF2.8の明るさ」「雨でも気をつかいすぎなくていい本格WR」「見ただけで絞りが分かる絞り環」「妥協のない写り」——このぜんぶを一度に欲しくなってしまったからです。240gの選択肢が目の前にあったのに、410gを選ぶ。我ながら、完全にレンズ沼の住人の思考。

正直に言えば、“登山的に正しい答え”は、たぶん240gの16-50だったと思います。それでも16-55にしたのは、登山が半分・写真が半分の僕にとって、ここだけは譲れなかったから。——という言い訳が本当に正しかったのか、身をもって検証します。

山で使って、良かったところ

  • 一本で画角が回せる:稜線の広がりは広角で、遠くの富士や尾根は中望遠で。レンズ交換なしで対応できるのは、風やホコリのある山の上で本当にラク。サンショウバラの日も、広い景色から足元の花まで、これ一本で済みました。
  • 写りに余裕:F2.8の明るさと立体感は、樹林帯の暗さや背景を整理したい場面で効く。X-E5の40MPをしっかり受け止めてくれます。
  • OISなしでも手持ちでいける:このレンズに手ブレ補正は無いけれど、X-E5のボディ内手ブレ補正(最大7段)が効くので、手持ちで困る場面はほぼなかった。ボディ側で補える組み合わせの強みです。

正直、しんどい・誤算だったところ

  • やっぱり重い、そして強烈なフロントヘビー:410gは「大三元にしては軽い」だけで、絶対値はしっかり重い。フラットなX-E5に付けると、完全に「レンズにカメラの裏蓋がついている」ような状態です。右手だけでは到底ホールドできず、常に左手でレンズを支える“大砲スタイル”に。Peak Designのキャプチャーでザックの肩紐に固定すると、レンズの重みでカメラ全体が激しくおじぎして、歩くたびに太ももや胸にゴツゴツ当たる。長丁場の登山では、この「地味なストレス」が後半じわじわ効いてきました。
  • WR(防塵防滴)の盛大なマヌケ感:このレンズは本格的な防塵防滴。「これで山の急な雨も安心だ」と思って買ったんですが——現場で気づきました。X-E5のボディ、防滴じゃないと。「盾(レンズ)は最強だけど、本体(鎧)は布切れ」という、あまりにも間抜けな布陣。結局、ポツポツ降ってきた瞬間、浸水の恐怖に怯えながら秒速でザックの奥底へ封印することになります。以前、愛用していたOLYMPUS OM-D E-M5 Mark II(既に売却済み) は本体まで防塵防滴仕様だったので大きな違いです。ただし、レンズ側がWRなのは「精神衛生上、前玉をガシガシ拭きやすい」くらいのメリットだと思っておくのが正直なところです。
  • 値段:気軽に「とりあえず」と言える価格ではありません。

で、結局どっちなんだ(使い分けの結論)

僕の今の結論はこうです。

  • 「写真をちゃんと撮りに行く日」は、16-55を担ぐ。 重さを払ってでも、画角の自由と写りが欲しい日。サンショウバラを見に行った富士箱根トレイルは、まさにこれでした。
    その日の記事はこちら👇 yamaswampman.com

  • 「とにかく歩く日・ロングな縦走」は、軽い単焦点。 写真より行動を優先する日は、90gのパンケーキの身軽さが正義に戻る。

要するに、「軽さは正義」も「写りは正義」も、どっちも正義。……なんて綺麗にまとめようとしましたが、嘘です。

実際は、「重ぇな畜生……」と肩を揉みながら登り、山頂で撮れた写真の立体感とシャープさを見た瞬間に「持ってきて良かったぁ!」と手のひらを返す。その不条理な反復横跳びを楽しめるかどうか、それだけです。前言撤回というより、物欲の前に理性が敗北した結果ですが——この写りを見てしまうと、「次もまた騙されて担いじゃうんだろうな」という諦念があります。

これからX-E5に一本足す人へ

最初の一本で「キットの23mm単焦点のままか、16-55ズームに行くか」で迷う人は多いはず。ざっくり言えば——軽さと常用なら23mm単、万能さと写りなら16-55。山での使い方(撮りに行く比率)で選ぶのがいいと思います。

👉そもそもなぜ登山にX-E5を選んだのか、はこちらの記事に書いています。

まとめ

  • こんな人に向く:山でも画角の自由が欲しい人/写りに妥協したくない人/レンズ交換の手間を減らしたい人
  • 向かないかも:とにかく軽量第一の人/超ロングな縦走がメインの人/コンパクトな見た目を保ちたい人

重いレンズを「重い」と分かって担ぐ。これはもう、レンズ沼の入口に立っている自覚があります。……はい、抜け出す気はありません。 ※この記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。リンク経由のお買い物が、沼の住人の活動費(=山行)になります。

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