
2026年のゴールデンウィーク、山梨の大菩薩嶺へ。富士山、大台ヶ原に続く、僕にとって3座目の日本百名山です。
結論から言うと——大当たりでした。天気は文句なしの晴れ、富士山はきれいに見えるし、稜線歩きが最高に気持ちいい。そして何より、ここで初めて「アルプスに近づいてきたかも」という手応えを味わえた一日でした。
今回のルートとアクセス
上日川峠(大菩薩湖北岸駐車場)→ 唐松尾根 → 雷岩 → 大菩薩嶺(2,057m)→ 稜線(妙見ノ頭・親不知ノ頭)→ 大菩薩峠(1,897m)→ 介山荘 → 周回
- コースタイム(実績):4時間55分(標準タイム5時間39分)。前半の急登でこそ立ち止まったものの、雷岩から先の稜線が気持ちよすぎて、写真を撮りながらでも自然と足が進みました。(休憩時間は約30分でした)
- 歩行距離・標高差:11.0km/のぼり839m・くだり841m
- アクセス:車(上日川峠の駐車場)。標高1,500m超まで車で上がれるので、2,000m峰のわりに歩きやすい。
- 難易度の目安:コース定数21=ふつう。危険箇所は少なく、百名山デビューにも向く部類。ただし稜線は風が通るので、晴れでも一枚羽織れるものを。この日は5月初旬、朝8時頃の駐車場で外気温5℃くらいでした。
道中レポ:地味な山頂と、ごほうびの稜線
正直に言うと、いちばんキツかったのは序盤。唐松尾根の、雷岩までの急坂です。標高を一気に上げる区間で、まだ体が温まりきらないうちにこれが来るので、何度か立ち止まりました。
でも、登りきって雷岩に飛び出した瞬間、全部報われる。眼下に大きな富士山、振り返れば南アルプスの白い稜線がずらり。「一目千両」とはこのことか、という大展望でした。
ちなみに、その先の大菩薩嶺の山頂(2,057m)は、樹林の中で展望ゼロ。三角点と標識がぽつんとあるだけで、正直ちょっと拍子抜けします。この山の主役は、頂上じゃない。雷岩から大菩薩峠まで、富士を横目に歩く開けた稜線こそが本番です。カヤトの原の上を、空に近いところを歩いている感覚——この「高度感」が、まさにアルプスの予感でした。


ひとつまみ:その峠、実は“国民文学”の舞台
歩いていて気になったのが、大菩薩峠に立つ山小屋「介山荘」の名前。調べたら、これがなかなか面白い。
大菩薩峠を一躍有名にしたのは、中里介山(なかざとかいざん)の長編時代小説『大菩薩峠』。大正2年から書き継がれ、全41巻・原稿1万5千枚に達しながら、作者の死で未完に終わった“世界最大級”とも言われる大河小説です。介山荘の名は、その作者・介山にちなむもの。
しかも物語は、主人公の机竜之助がこの峠で巡礼を斬り捨てる、というかなり血なまぐさい場面から始まるらしい。いま自分が富士を眺めてのんびり歩いているこの穏やかな稜線が、そんな物語の幕開けの舞台かと思うと、ちょっと不思議な気分になりました。——こういう背景を知ってから歩くと、同じ道でも少し違って見えます。

カメラのこと(X-E5+23mm)
天気は晴れ予報。なので今回は、X-E5に軽いパンケーキのXF23mmをつけて、迷わず投入しました。広い稜線も富士の遠景も、35mm相当の素直な画角で気持ちよく撮れて、軽いから稜線歩きの負担にもならない。やっぱり、晴れた山にカメラを持っていけるのは幸せです。35mm換算35mmの23mmの素直な画角は、目で見た稜線の広がりにちょうどよくて、富士山を主役にしても余計な誇張がない。撮って出しの色が記憶に近いから、稜線では立ち止まってばかりでした。(後から振り返ると稜線での歩行速度はめちゃくちゃ遅い!)
以前、天気の悪い大山で泣く泣くX-E5を家に置いてきた反省が、しっかり生きました。そもそもなぜ登山にX-E5なのか、逆に軽さを捨てて重いレンズを担いだ話なども、よければあわせてどうぞ。
まとめ:百名山デビューにも、稜線の入門にも
- 難易度:★★☆☆☆(車で高所までアクセスでき、危険箇所は少なめ)
- 所要時間:実績4時間55分(標準は約5時間40分)
- こんな人に:富士山と南アルプスの大展望を手軽に味わいたい人/開けた稜線歩きを体験したい人/日本百名山を始めたい人
- ひとこと:山頂より稜線が主役。晴れの日に行ってこその山です。
おわりに
低山から始めて、丹沢で距離を踏んで、そして今回、空に近い稜線で富士と南アルプスを一望した。「いつかアルプスでテント泊」という目標に向かう階段を、一段のぼれた実感がありました。
高いところは、やっぱりいい。もっと上へ行きたくなる。——次はどの稜線に立とうか。完全に、沼です。
