

正直に白状すると、この日は山頂でカレーを食べる気満々でしたが、結局、天気が悪く雨が強くなる前に下ろうと、中途半端に腹を空かせた山行でした。
2026年5月、丹沢主脈へ。大倉から、通称“バカ尾根”を登って、塔ノ岳、そして丹沢山まで。富士山・大台ヶ原・大菩薩に続く、日本百名山4座目です。
結論から言うと——ガスで、何も見えませんでした。それでも、「来てよかった」と思える一日だったんです。
- 今回のルートとアクセス
- 道中レポ:噂の“バカ尾根”、噂どおりでした
- 豆知識:バカ尾根は、アルプス前の“鍛錬の道”
- 眺望ゼロでも、「百名山」を感じた
- 登りは掴めてきた、下りはまだ課題
- カメラのこと(ガスと、ポツポツ雨)
- まとめ:展望を求めず、“鍛錬と奥深さ”を味わう山
- おわりに
今回のルートとアクセス
大倉 →(大倉尾根=バカ尾根)→ 塔ノ岳(1,491m)→ 主脈(日高・竜ヶ馬場)→ 丹沢山(1,567m)→ 往復
- コースタイム(実績):7時間05分(標準タイム10時間52分),そのうち休憩は30分程度
- 歩行距離・標高差:19.6km/のぼり1,776m・くだり1,777m
- アクセス:車(秦野戸川公園・大倉駐車場)。市街地を抜けて、そのまま山へ入っていく感じ。
- 難易度の目安:コース定数43=「きつい」。これまでで一番ハードでした。道は明瞭で茶屋も多くエスケープもしやすいですが、体力的には完全に上級寄り。★は体力基準で3つにしました。
道中レポ:噂の“バカ尾根”、噂どおりでした
市街地を抜けて登山口へ。そこから始まるのが、丹沢名物の大倉尾根、通称「バカ尾根」です。
歩いてみて、納得しました。木の階段とガレ場が、延々と、ひたすら続く。全長約7km、標高差は約1,200m。展望もそれほど開けず、ただただ登る。「変化に乏しく単調な登りが続くから“バカ尾根”」という由来の説に、足で深く頷きました。長い。とにかく長い。
そして塔ノ岳(1,491m)に着くころには、あたりはガス。ポツポツと雨にも打たれ、風が吹くと寒い。眺望は、まったくのゼロ。塔ノ岳から丹沢山への主脈も、地味なアップダウンが続いて、これがまた効いてくる。たどり着いた丹沢山の山頂も、真っ白。何も、見えませんでした。

豆知識:バカ尾根は、アルプス前の“鍛錬の道”
この単調でキツい道、実は登山者のあいだで「アルプスに行く前の鍛錬にちょうどいい」と勧められる、定番のトレーニングコースなんだそうです。
それを知って、ちょっと笑ってしまいました。前回の南高尾で「いつかアルプスでテント泊だから、もっと荷物を背負いたい」なんて書いたばかり。気づけば僕は、ちゃんと“その道”の上に立っていたわけです。標高差1,200mを黙々と登るこの修行は、たしかに脚づくりにうってつけ。バカ尾根、ありがとう。もう一回は、遠慮したいけど。


眺望ゼロでも、「百名山」を感じた
ここが、この日いちばん書きたかったことです。
正直、展望はゼロ。写真映えも、ほぼなし。でも——延々と続くバカ尾根の登りと、ガスの向こうに広がる奥深く静かな丹沢の山ふところに、「ああ、これが百名山か」という“格”のようなものを、はっきり感じたんです。
晴れて富士山がドーンと見えた大菩薩とは、まるで違う満足感。展望だけが、山の価値じゃない。歩いた距離と、登った標高と、山そのものの奥深さで「来てよかった」と思える——そういう山があるんだ、と。少しだけ、山の見方が大人になった気がしました。


登りは掴めてきた、下りはまだ課題
体の使い方も、収穫がありました。登りは、モモと裏ももの大きな筋肉で体を持ち上げる感覚と、ストックで上半身の力も使うコツが、だいぶ掴めてきた。1,776mを登り切れたのは、その手応えです。
一方で、下りはまだ全然ダメ。長い下りで脚に来て、「もっと上手な歩き方を学ばないと」と痛感しました。南高尾で“すっと降りる”コツを掴みかけた、と書きましたが……まだまだ道半ば。下りは、当面の宿題です。
カメラのこと(ガスと、ポツポツ雨)
ガスと小雨で、残念ながら大展望は撮れず。X-E5の出番は限られましたが、それでもガスに沈む新緑や、バカ尾根の果てない階段は記録に残しました。眺望がない日は、足元や近くの緑に目が向く——それはそれで悪くない。
ただ、またポツポツ雨。防滴じゃないX-E5を抱えて、内心焦りと”降るなっ!”の祈りでヒヤヒヤしていたのは内緒です(雨に泣いた大山の再来かと…)。なぜ登山にX-E5なのかは、こちらに。
まとめ:展望を求めず、“鍛錬と奥深さ”を味わう山
- 難易度:★★★☆☆(道は明瞭で危険箇所は少ないが、19.6km・のぼり1,776mと体力的にハード)
- 所要時間:実績7時間05分(休憩30分含む、なお、標準は約10時間50分)
- こんな人に:アルプス前の鍛錬をしたい人/百名山を目指す人/展望がなくても山の奥深さを楽しめる人
- ひとこと:丹沢はヤマビルでも有名なので、時期によっては対策を。
おわりに
ガスで何も見えなかったのに、不思議と満たされた一日でした。「アルプスへの階段」を、また一段——しかも今回は、いちばんきつい一段をのぼれた気がします。
そして、丹沢山の先には、神奈川県の最高峰・蛭ヶ岳が待っています。今回は丹沢山で折り返したけれど、主脈の“最終ボス”は、まだ宿題のまま。脚ができたら、次はあそこへ。
——抜け出すどころか、どんどん奥へ。やっぱり、沼です。

